ビギナーズラック~旅行中《トラベリング》~
――それはまるで歌の文句のように僕の耳に残った。
「ミス・ホリデー・ゴライトリー、トラヴェリング」
筆者の愛読書の一つ、「ティファニーで朝食を」から抜粋させてもらった。
タイトルを耳にしたことがある人は多いのではないだろうか。
映画ではオードリー・ヘップバーンが演じていたと思う(……筆者は実際にこの映画を観ていないのでよく分からないが)。
ちなみに筆者が読んでいるのは、村上春樹訳の方である。
ヒロインは上記にある、ホリデー・ゴライトリー。周りからはホリーと呼ばれ、破天荒で気ままな生活を送っている見目麗しきメインキャラクターだ。
そして彼女、ホリデー・ゴライトリーの住む部屋の表札には、「ミス・ホリデー・ゴライトリー、旅行中《トラヴェリング》」とある……
このセンテンスに惹かれる理由は、もちろん村上春樹の言葉選びが美しいから、というのもあるのだろう。
しかしながら、「旅行中《トラヴェリング》」。
もの凄く旅心を刺激するものがあると思う。
かといって、自分の家の表札にそう記しはしないと思うが。笑
「ティファニーで朝食を」の話はあくまで前置きに過ぎないのだが(それでも一度は目を通してもらいたいと思う作品ではある。時間と余裕がある方には是非是非読んでもらいたい!出来るなら春樹訳で!)、本題はタイトルにある通り。
ビギナーズラックについてである。
ビギナーズラック・・・物事の初心者が持っているとされる幸運(
ビギナーズラックとは (ビギナーズラックとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
)
筆者は旅を始めてからまだ一年あまり。
旅人としては初心者の中でもかなり初心者のほうに分類されるだろう。
しかしなかなか、自分自身でも幸運に恵まれている方だと思う。
理由としては、
- 公共交通機関の乗降がスムーズであったり、
- (飲食店等の)予約が残り一枠での滑り込みに成功したり、
- 好天に恵まれる
こんなところだろうか。
旅先ではバックパックやその他の手荷物など、結構重量級の荷物を抱えていることが多い。そのため、1番のような状況はかなりありがたい。
(バックパックは筆者の身長の3分の2程度を余裕で占めている。混んでいる車内であれば身じろぎすることさえも苦行だ……)
そして2番。
基本的に、筆者が飲食店の予約を始めるのは現地に着いてからである。そのため、いいなと思った所を予約するのも、かなり直前になってからになる。
駅や観光名所の付近は予約は取れにくいだろう……そう思いながらもダメもとで電話を掛けてみると、案外サクッと予約できたりする。非常にありがたい。
そしてこの滑り込みで入ったお店がめちゃくちゃ当たりだったりするので、運というのはなかなか侮れないものだと思う。
最後に3番。
これは昔からのジンクスなのかもしれないのだが、筆者は外出先で雨に降られたことが殆どない。旅行においてもまた然り。
傘を持ち歩かなくても過ごせる旅行。
なんともストレスフリーで、ありがたい。
こういった(些細なことかもしれないが)幸運というのも、ビギナーズラックの一つなのかもしれないと少し思う今日この頃である。
前回のブログでは夏季休暇に訪れた京都のことについて書いたので、今回は去年の冬に訪れた島根県、兵庫県のことについても紹介がてら書こうと思う。
まず始めに、
島根県きってのパワースポット、出雲大社《いずもおおやしろ/いずもたいしゃ》である。
写真は出雲大社の境内の一つ、神楽殿である。
大きく見事な注連縄で飾られた神楽殿は、出雲大社のなかでもメジャーなスポットだろう。
実は出雲大社、筆者がお宮参りで訪れたことがあるという。実に、20年ぶりの再訪。
天気に恵まれ、青空のもとゆっくりと参拝することができた。
八百万の神様、筆者は無事成人いたしました。(安堵)
続いて訪れたのは、姫路城《ひめじじょう》。
白い城壁と青空のコントラストが眩しい。
旅を始めてから、城というものの奥深さを分かり始めた気がしている。
実は島根でも、偶然発見した城へ足を運んでいた。(その城についてはまた折をみて書こうと思う)
筆者は日本史に疎いのでこの城の歴史を語れはしない。けれど、日本という国の歩んできた道のりを顕してくれる重要なものであるとは言える。
今度は、もう少し歴史を頭に入れてから城めぐりをしてみようか。
実は島根、兵庫以外にもう一か所訪れたところがある。
それがここ、万博記念公園・太陽の塔《ばんぱくきねんこうえん・たいようのとう》である。
正直、筆者の生まれる随分前に開催された日本万国博覧会についての知識はまったくないのだが、ただただこの、太陽の塔を間近で見てみたいがために訪れた大阪である。
青空という美術館の中で、ただひたすらに静かな芸術を見せつけられている(もちろん悪い意味などではなく)ような、不思議な気分になった。
この日は訪れている人が少なかったからかもしれない。
見る人によって感想は異なるのかもしれないが、筆者は好きだ。
ちなみに、この後「岡本太郎記念館」なるところで不思議なキャラクターグッズを購入した。ピンバッヂであったそれは今でも、筆者の仕事用リュックの目印になっている。
ミス・ホリデー・ゴライトリーのような、奔放な生活を送ろうとまでは思わない。
しかしながら、筆者はできるだけ自由に、のびやかに旅がしたいと思う。
そしていつか筆者の部屋の表札の片隅に小さく、
「旅行中《トラヴェリング》」
などと記せる日が来ればいいとほんの少し、願っている。
脚注:
「ティファニーで朝食を」著:トルーマン・カポーティ 訳:村上春樹(新潮文庫)